三笠宮殿下薨去 ドゥテルテ訪日語録
昭和天皇には、3人の弟宮がおられました(1921年撮影)
一番左、手にステッキのモーニング姿が、皇太子時代の昭和天皇
一番右、陸軍士官の軍装が次男・秩父宮(ちちぶのみや)殿下
その左、海軍士官の軍装が三男・高松宮(たかまつのみや)殿下
昭和天皇の右の少年が、四男・三笠宮(みかさのみや)殿下
欧州の王室に学び、明治以降の日本の皇族は軍務に就くのが原則でした。
秩父宮(1902-53)
陸軍士官として、のちに二・二六事件を起こす皇道派の指導者たちや国家社会主義者・北一輝の影響を受け、兄の昭和天皇に憲法停止を進言して激論になる。二・二六事件では昭和天皇に叱責され、逆に反乱軍将校に自決を促す。登山やラグビーを好むスポーツマンであったが、大戦中は結核を病み、戦後まもなく薨去。お子様はなく、秩父宮家は断絶。
高松宮(1905-1986)
海軍砲兵士官として戦艦・比叡(ひえい)に搭乗。燃料不足のため日米開戦は回避すべきと昭和天皇に進言、敗戦直前には大西海軍中将(神風特攻隊の発案者)に「終戦のためには、皇室のことは考えなくてよい」と語り、敗戦後はGHQと昭和天皇との間の橋渡し役をしました。お子様はなく、高松宮家は断絶。
三笠宮(1915-2016)
陸軍士官として南京の支那派遣軍総司令部に配属。日本軍の軍紀の乱れを報告する。帰国後、早期終戦のため東條内閣打倒のクーデタ(失敗)に関与。終戦時にはポツダム宣言受諾を唱え、本土決戦を主張する阿南(あなみ)陸軍大臣を叱責。戦後は東大で古代オリエント史を学び、東京女子大の講師も務める。初代神武天皇即位を祝う紀元節の復活に「科学的根拠がない」と反対。推進派から「赤い宮様」「左翼」と呼ばれる。
三人の男子に先立たれ、お孫さん5人はいずれも女子。よって三笠宮家は断絶する。
2016年10月30日 三笠宮薨去(こうきょ)。享年100歳。
※天皇の死を「崩御(ほうぎょ)」、皇族の死を薨去(こうきょ)という。
お疲れ様でした。ご冥福をお祈りします。
********************
三笠宮殿下の薨去にともない、皇族方は喪に服され、天皇陛下とフィリピンのドゥテルテ大統領との会見も中止になりました。三笠宮殿下は、今上(きんじょう)天皇(いまの天皇)陛下の叔父上です。
陛下は大統領の宿泊先の帝国ホテルに式部官長を派遣、
「お会いすることがかなわず、残念に思います」
と伝言。ドゥテルテ大統領は、
「事情はよく理解しました。陛下の深い悲しみを共有するとともに、心から哀悼を表します」
と答えました。
安倍首相との首脳会談は予定通り行われ、海保の訓練を視察した大統領は帰国の途につきました。
ドゥルテルテ来日語録。
(FNNのインタビューで)
―滞在中、最も会いたい人物は誰ですか?
「それはもちろん天皇陛下だ。どの国のリーダーでも天皇陛下にはお会いしたいと思うだろう」
―天皇陛下とお会いしたら何をお伝えしたいですか?
「おそれ多くて言葉が出ないかもしれない。神のような存在として尊敬する。なんと申し上げようか…。『敬愛なる陛下、このように直接お会いできることは人生で最上の喜びです』とか…」
―北京の習近平国家主席との会談でガムを噛んでいませんでしたか?
「いや、口内炎があったから、それをいじっていたんだ。ガムを噛むような行為は大変失礼だから」
(10/26 安倍首相との首脳会談で)
「(南シナ海問題について)いま語るべきではないが、しかる時が来れば、フィリピンは日本の側に立つ」
「アジア太平洋地域の懸念事項について、日本と緊密に連携する。基礎にあるのは民主主義、法の支配、南シナ海を含む紛争の平和的解決だ」
(10/26 安倍首相との共同記者会見で)
「フィリピン経済をよい方向に変えるため、日本政府からの援助を継続してもらうことで合意した。日本は兄弟よりも親しい特別な友人だ」
「日本はフィリピンの海洋の安全を守るための能力を近代化させる重要な役割を担ってくれている」
「南シナ海の問題を含む紛争の法的、平和的な解決を目指して日本と緊密に協力していく」
(海保の訓練視察後の取材に答えて)
「日本との共同訓練は一般的に言って問題ないが、米国とは問題だ。米軍との訓練は今回が最後だ」
「安倍首相には米国に対する私の感情を話した。米国は我々を鎖につないだ犬のように扱う、と。安倍首相は理解を示した」
ドゥテルテのイメージが変わった!
と思った方は、
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世界史ネット講義
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過去の動画もアーカイブで見ることができます。
文化放送オトナカレッジ「地政学講座」
9/3放送 「南シナ海は誰のものなのか?」
9/10放送 「中国は南シナ海で何を狙っているのか?」
文化放送「オトナカレッジ」地政学講座の書籍化です。Amazonで注文できますが、本屋さんを応援するため、なるべく書店でお買い求めください。
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9刷御礼! 通算9万3千部です。『経済は世界史から…』の8万部を超えました。ありがとうございますm(_ _)m
一番左、手にステッキのモーニング姿が、皇太子時代の昭和天皇
一番右、陸軍士官の軍装が次男・秩父宮(ちちぶのみや)殿下
その左、海軍士官の軍装が三男・高松宮(たかまつのみや)殿下
昭和天皇の右の少年が、四男・三笠宮(みかさのみや)殿下
欧州の王室に学び、明治以降の日本の皇族は軍務に就くのが原則でした。
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高松宮(1905-1986)
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三人の男子に先立たれ、お孫さん5人はいずれも女子。よって三笠宮家は断絶する。
2016年10月30日 三笠宮薨去(こうきょ)。享年100歳。
※天皇の死を「崩御(ほうぎょ)」、皇族の死を薨去(こうきょ)という。
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「(南シナ海問題について)いま語るべきではないが、しかる時が来れば、フィリピンは日本の側に立つ」
「アジア太平洋地域の懸念事項について、日本と緊密に連携する。基礎にあるのは民主主義、法の支配、南シナ海を含む紛争の平和的解決だ」
(10/26 安倍首相との共同記者会見で)
「フィリピン経済をよい方向に変えるため、日本政府からの援助を継続してもらうことで合意した。日本は兄弟よりも親しい特別な友人だ」
「日本はフィリピンの海洋の安全を守るための能力を近代化させる重要な役割を担ってくれている」
「南シナ海の問題を含む紛争の法的、平和的な解決を目指して日本と緊密に協力していく」
(海保の訓練視察後の取材に答えて)
「日本との共同訓練は一般的に言って問題ないが、米国とは問題だ。米軍との訓練は今回が最後だ」
「安倍首相には米国に対する私の感情を話した。米国は我々を鎖につないだ犬のように扱う、と。安倍首相は理解を示した」
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9/3放送 「南シナ海は誰のものなのか?」
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この記事へのコメント
①日本の援助を受け入れ
②中国の援助を減らし
③アメリカとの関係改善に努め
④南シナ海は反中姿勢を明確にする
を期待しますが、どうも①しかやってくれない気がします・・・。
いろんな人の本のなかに国民国家というワードが出てくるのですが、書き手によって国民国家の捉え方が違います。
先生が考える国民国家の定義について教えて下さい。